不正事例:棚卸の不正、在庫を意図的に変更していた事例

不正事例

ボーナスの仕組みと棚卸の関係性

過去に在籍していた企業内での、ある不正のお話

その企業では当時、ボーナスの支給率が、
各店舗で変動するという形をとっており、
査定が満点の店舗には、店長、料理長それぞれに、
最大12か月分の支給を行っていました。

逆に成績を残せなかった店舗はゼロというところも。
完全実力主義のボーナス査定です。(筆者在籍時のお話です)

余談ですが、かなりいい成績を残した店舗の料理長は、
外車を現金一括購入したという、夢のあるボーナスシステムでした。

その支給額を決めるための査定方法が以下です。

・予算対比の売上%達成率
・F/Lコストの%達成率
・エリアマネージャー、シェフによるホール、キッチンのクオリティチェック

他にも査定項目がありましたが、
大きなところではこの三つの数値が関わっていました。

ボーナス査定内容のF/L(原材料、人件費)コストにおいて不正が行われました。
具体的に何を行ったか、そのポイントについてお話します。

 


ワインは不正が行いやすい

結論から言えば棚卸の不正で
実際には存在しない在庫を計上していた
事が発覚しました、その対象はワインでした。

ワインを扱う業態、特に客単価の高いお店では、
仕入れ金額ベースでの在庫金額がかなり高額になることがあります。

客席数や単価によっては、在庫金額が30万円を超え、
100万円に達することも珍しくありません。

これだけ高額な金額を扱うがゆえに、
不正に使用されやすいアイテムとなる、その大きな理由が以下です。

・在庫が長期間保管されることもある(棚が動かない)
・専門的な知識が必要で、付加価値まで把握することが難しい
・担当者でないと、正確な在庫の把握ができないことがある。

不正を行った店舗は、客単価が1万円を超えるファイン・ダイニング店の店長でした。

ボーナス査定の原価のコントロールにおいて、数値が不足していることが分かり、
架空の在庫を計上し、ドリンク原価の操作をしていたという事が発端でした。

しかしそれが発覚したのは、当該の店長が退社したのちのことでした。
架空の在庫は、後任の店長にそのまま引き継がれ、
在庫不正を抱え続けることが限界と感じて会社に申告し、問題が明るみに出ました。

 


お金に関する仕組みと、不正防止の仕組みはセットで

給与にまつわる仕組みを作るときには
同時に不正が行われないための仕組みを作るべき

えばこのケースでは、
・棚卸を行う担当者を複数人設定する。
・棚卸の際に、数回に一度は直属の上司が立ち会う。
などが有効です。

これらの対策は面倒ですが、
一人に任せるよりは危険を減らすことができます。

ワインに似た商材で、価格はそこまで吊り上がらないかもしれませんが、
日本酒も気を付けるべきカテゴリーであると思います。

オーナー様は、正確な棚卸システムを構築することをお勧めします。

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