飲食店の特殊な会計オペレーションと釣銭金管理、昔と今の違い

不正防止管理術

会計オペレーションの、お店都合の問題点

食業界に入って20余年、数々の職場で経験してきた、
様々な会計オペレーション、釣銭金の管理。
一番思い出深いのは、ホールとして勤務した初めての職場でした。

業態はカジュアル・イタリアン。
客単価ランチ1,100円、ディナー4,200円アベレージでした。

 

ここでは、自分の担当セクションの、全ての会計を自分で行います
ランチ・ディナー問わずでした。

今と違って、当時は会計がランチはほぼ現金一択。
ディナーはクレジットカードか現金の二択という時代でしたので、
成り立ったオペレーションであったと思います。

200席を超える大箱の店舗であった上に、2フロアからなり、
その全ての会計を入口で対応することが、現実的に難しかったこと。
そしてスピードと回転数を上げる為。が、理由でのオペレーションでした。

自分のセクションのオーダーテイクからフードアップ、
バッシング、会計、リセット。すべて自分で行う、
まるで自分のセクションは個人店の様でした。

各セクションの担当するテーブル数はスキルによって異なります。
最低で4テーブル~最高で12テーブルまで。
アルバイトは担当できるテーブル数で、時給に違いがありました。

出勤したら、自分で準備している釣銭金を、各金種に両替してもらい、
会計専用のエプロンに入れて勤務していました。

また、会計を分かりやすくするために、
メニューの金額は合計額が50円刻みになるように設定されていました。

 

例えばランチ時の4名いるテーブルで個別会計を行う場合、
お支払いを個別に預かって、都度都度エプロンからお釣りを渡す。
そのテーブルのリセットが終わるまでに、POS上の会計を終了させる。
正確に、しかしスピードがないと、後からどんどん仕事はやってきます

したがって、業務がマルチタスクである上に、
その優先順位を組み立てながら動かないと
最高12テーブルは対応できないのです。

 

余談ですが、この職場で【1way3job】という標語を教わりました。
1回の業務で3つの仕事をして帰ってきなさい。という意味なのですが、
業務が多岐に渡るために、これを上手く取り入れないと、
スムーズにオペレーション出来ない経験をしました。

 

さて、この会計システムですが、中には不向きな人もいます。

・先を考え、仕事の優先順位を組み立てられない人
・計算を瞬時に行うことが苦手な人
・焦りやすい人

勤務終了時に売上金を、(自分の用意した釣銭金以外)
バックヤードにある入金機に入金して帰るのですが、
実は、この時に誤差が出ていたら、自己責任となります

小銭の誤差はそれぞれ経験したことがありますが、
ある女性スタッフは、5千円の誤差を、二度も経験していました。
恐らく、1万円札と5千円札の勘違いでしょう。
当時、時給950円だった彼女です。10~16時の勤務シフトで、
その日はほぼただ働きと知った時の落胆ぶりは同情しかありませんでした。

 

このようなオペレーションがまかり通っていたのが、
今となっては不思議ですが、やはり時代背景です。
それが当たり前と誰も疑問を持ちませんでしたし、
補填するのも、間違えた自分が悪いと諦めざるを得なかったのです。

 

・会計のための釣銭金が自己準備
・不足金が出たら自己負担 などはやめましょう。

昔はお店の都合で構築されていた会計オペレーションですが、
今の時代は、スタッフありきで考えていないと危険です。
だからこそ、このオペレーションは廃れていったのです。

これは特殊なケースでしたが、会計のオペレーションには、
それぞれのお店の事情が絡んでくると思います。
スタッフありきの方法になっているか、見直すことをお勧めします。

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