レジでの釣銭金の過不足はヒューマンエラーありきで考える
私が関わってきた飲食店、それぞれの会計の特徴がありました。
・個人がレジ金を持ちながらオペレーションする会社
・レセプションに電話対応と会計を任せている一般的な会社
・とにかく割引の多い会社
上記の中で、最もレジ釣銭金の過不足が少ないのは、
会計専門のセクションがある会社です。
実はこれはホテル時代の事例ですので、
町場の飲食店では該当しないのですが、
参考程度にご説明すると、テナントも自社の飲食店も、
会計は全て専門部署のスタッフが行っていた。ということです。
特殊なケース
少し変わっているのは、(もう今では行っていない筈です)
【個人がレジ金を持ちながらオペレーションする】という、
いわば個人商店状態の会計方法です。
なぜその様なオペレーションになったかというと、
かなり大箱のお店で、入り口ですべてのお客様の会計を行う様なオペレーションはできず、
テーブル会計をメインに行っていたからです。
そのため、釣銭金の過不足が発生した場合は、個々で対応となり、
ミスの頻度はスキルや性格に大きく依存し、ミスをした場合は自己補填していました。
これには会社側のメリットしかなく、スタッフ側にはデメリットだらけでした。
したがって、(もちろん時代背景はありますが)今では廃れていった手法です。
販売施策の多い会社の場合
次に【とにかく割引の多い会社】のお話ですが、
自分が責任者をしていた店舗では、とにかく釣銭金の誤差がよく出ました。
その理由は以下です。
1:ランチ時の個別会計が多いこと
これは致し方ないのですが、やはり個別会計がメインとなると、
特に会計が被るタイミングでは、会計待ちの行列が長く出来ます。
そうなると、どうしても精神的に焦ることが多くなる中、
割引を含めたレジ操作が多数必要になり、
会計に熟練していても、ついついミスをしてしまう。という背景があります。
それが入力ミスのような内側だけの問題ならまだしも、
お釣銭の渡し間違いなどは、この際に発生することも多々あります。
2:予約受付時間が0分回転
例えばディナータイム混雑時の滞在可能時間を、2時間に設定していた場合、18時のご予約の次の予約を、20時で受ける。という事です。
多忙時に退席時間になっても帰らないお客様と、予約時間になっても入店できないお客様からのプレッシャーで、精神的にかなり負担を強いられるのが入口の担当です。
そんな中、落ち着いて会計ができる。という胆の据わった人はなかなかおらず、やはりオペレーションに問題がありました。
3:会計時に行われる処理が多いこと
前述の割引など含めたレジ操作が必要になるという部分です。
本部が主導する販売促進がとても多く、内容も多岐に渡っていたために、
現場では混乱することが多々ありました。
4:スタッフの離職率が高かったこと
入れ替わりが激しいと、当然ミスの確率が高まります。
5:自動釣銭機の導入ができなかったこと
幾度も起こる釣銭金のマイナスを補填していたのは店長である自分でした。
そのミスを無くすために有効なのは自動釣銭機の導入以外ないのですが、
残念ながらお店の構造上の問題で、諦めざるを得ませんでした。
実は、もし仮に導入できたとしても、ランチタイムの個別会計に、
更に時間がかかるというデメリットは予想出来ていたのですが、
それを差し引いても導入したいと思えるほど、
不足金額の自己負担は精神的にきつかったのです。
ヒューマンエラーありきで考える
よく、飲食店はマルチタスクだ。と言われますが、
精神的に負担の大きいマルチタスクは焦りを生み、焦りはミスを生みます。
このお店で、釣銭金の誤差がよく発生した一番の原因は、
焦りを生むオペレーションがゆえの弊害であったと思います。
要はミスする前提で考えるということです。
それを防ぐためには、トレーニングや教育もさることながら、
焦りを生まない仕組みづくりが手助けとなります。
オペレーションで整理整頓し、システムの力を借りて改善する。
が、正しい解決方法です。
もし釣銭金の過不足が頻繁に起こっているお店があるならば、
是非とも上の解決方法をお試しください。
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