飲食店の現金不正・横領が発覚したら? 証拠の集め方と対策マニュアル

不正事例

現金横領が発覚したら? 飲食店の適切な対応策

現金を扱う店舗、とりわけ飲食店での現金の不正は、
大手チェーンが使用する事の多い自動会計システム、もしくは自動釣銭機が導入されていない場合、
残念ながら発生する可能性があります。

もし、自店舗で不正の可能性がある場合や、不正が確認された状況となった場合は、
初期動作に細心の注意を払う必要があります。

 

概要の把握~証拠の獲得

一番最初に行うこと。それが、
【どのようにして不正が行われているか】の概要の把握です。

この場合、該当者に知られないよう細心の注意を払い、状況を把握することが重要です。

例えば、同僚に情報の収集をする場合、
その同僚も同じ様に行っている可能性があるかもしれません。
犯行者は複数人いる可能性もあるわけです。

 

また、該当者に疑念を持っていることを知られてしまった場合、
証拠の獲得が難しくなる可能性があるからです。
確固たる証拠を集めるまでは、
あえて泳がせておく必要があります。

概要を把握し、証拠を確保する準備を入念に行いましょう。

 

証拠にはどんな内容が必要か?

  1. 防犯カメラなど犯行時の映像
  2. POSデータから紐解く状況証拠
  3. 上記二つの証拠を提示した後、自白した際の映像・音声証拠

この三つが必要です。

最も重要なのは、犯行者の自白ですが、
もし、1,2が用意できない場合、自白をさせることが難しくなります

まず、防犯カメラの設置を知られない様に行うこと。
これは必ず行いましょう。

そして、POSを使っていない場合は、それに準ずる記録を取ること。
例えば、料理などの出数を控えておき、実際のレジデータの差額を集めることなど、
地道に証拠を集めていきましょう。

 

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不正発覚後のゴールは?

残念ながら横領などの不正が発覚した場合、
まず人と金の始末をつけなければなりません。
そして、今後の対策です。

 

該当者の対処はどうするか?

これは私が今まで経験した事ですが、
不正発覚後にそのスタッフから被害額を一括で回収することは非常に困難です。

そもそもお金欲しさに犯行に及んでいることが多いため、
何かしらお金に困っていることが多いです。

となると、働いて返してもらう。
という方法が最もありがちなのですが、これも自社では難しいことが多いです。
一旦それで働き始めた場合でも、私が知る限り、続いた試しがありません。

きっと改心して返済した例はあるとは思いますが、
罪を犯した人間は、強い心を持っていないからこそ犯行に及びます。
オーナー様の考え方や対応も影響すると思いますが、
その逆境の中で改心するということは、なかなか難しいことが多いのが実感としてあります。

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解雇は注意が必要

前述のような証拠が充分にそろっている場合は問題ありませんが、
証拠不十分で、疑わしい状況での解雇は不当解雇と訴えられる可能性があります。

この辺りは状況によって左右されるケースが多いので、
解雇する場合は、必ず弁護士への相談を行いましょう。

これまでの私の経験したケースでは、やはり【自主退社】という形をとることが多いです。
余計な労力を使わないようにしましょう。

 

お金に関しての解決方法で有効なのは【身元保証人】

最も重要なのが、入社時に行う誓約書及び、身元保証人を立てること。
上に書いたように不正発覚から、該当者の自白までが証拠として用意できれば、
身元保証人に、被害額の保証人になってもらうことが一般的です。

基本的に本人に返済をさせていきますが、一度でも飛んだ場合は、
一括で返済されるように署名・捺印してもらうことが有効です。
必ず弁護士を通じて行うようにして下さい。
書類に不備があると、全て回収できなくなる可能性があります。

―参考記事―
https://attenzione.net/written-oath/

 

仕組みを構築することは必須

ここまで書いたように、不正への対応にはお金がかかります。

POSシステムやカメラの設置を最初から行っていれば問題ないですが、
もし無かった場合、この機会に必ず導入しなければなりません。
ここまでは必要経費だと思う事が必要です。

しかし、対応する際の人件費や、私共のような業者への外部委託料、
示談の際の示談書作成の弁護士費用など、費用が多岐に渡ることを考えれば、
当然、発生しないように管理することが最も重要となります。

まずは見られていると知らせること。

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それが、不正防止の第一歩であることは間違いありません。

 


尚、ここで書いたことは全て民事事件に基づく内容です。
飲食店の現金の横領では、刑事事件にすることはほぼありません。
刑事事件となれば、会社として大きなダメージを受けることが多いためです。

以下に参考のリンクを貼っておきます。(外部リンク)
https://www.pio.co.jp/column/employee-embezzlement-2/

不正・横領は、精神的にも金額でも、とても負担の大きいものです。
被害者であるのに、心労や金銭的負担がある、
経営者にとってはクレームよりも起こって欲しくない事件です。

最も大事なのは、やはり未然に防ぐこと
是非、具体的な防止の仕組み構築をお勧め致します。

 

私共では毎月のジャーナルチェックの代行をしております。
疑わしい部分を抽出し、ご報告させて頂くサービスです。
外部委託していることによって、犯行の予防効果も期待できます。
是非ご検討ください。

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